尿酸値が高いと「痛風」という病気になることは知っておられる方も多いと思います。私は尿酸値が高いだけと思っている人に、高尿酸血症の治療は痛風予防よりももっと重要な意味があることをお話したいと思います。

 

最も重要なことは、尿酸値高いと命に関わる心臓病、腎臓病を発症するということです。

 

その理由の一つは、尿酸値が高い人を調べると、高血圧、脂質異常症を併せて発症していることが多いということです。尿酸は腎臓や足関節で尿酸が沈着し、尿路結石、痛風を起こすだけではなく、研究レベルでは脂肪細胞に働きかけて炎症を起こし、全身の臓器や血管に障害を与える可能性が指摘されています。高尿酸血症に高血圧、脂質異常が合併すると、高尿酸血症がない人より、血管病が重症化しやすいということです。

 

つまり、尿酸値が高い人は日々の生活の中で、プリン体の多い食事を控える、減量する、アルコールを控える、水分をしっかりとる、ストレスを避けることは継続頂きたいと思いますが、それに加えて

 

「しっかり通院を続け、心臓や腎臓、頸動脈などの血管のチェックを受ける」

 

これが非常に大切だということです。2018年の慢性腎臓病のガイドラインに初めて尿酸を下げることが、慢性腎臓病の予防につながると掲載されました。高尿酸血症の治療が他の血管病(心筋梗塞、慢性腎不全など)の危険性を下げる理由はまだまだ研究段階のようですが、医療者の我々も非常に注目しています。

 

青野クリニック 院長 青野 悟志