みなさん、こんにちは。今日は胃薬についてお話したいと思います。最近は薬局に数多くの種類の胃薬が置いてあって、大変便利になったなと思います。私も病院に行く暇がない時に、市販薬にお世話になったこともあります。しかし、消化器内科医の私個人的には、これは本当に病気を持つ人にとってはあまり良い方向性ではないなと感じています。以下に、僕が感じる問題点をいくつか挙げます。
- 用量が少ない
市販薬の添付文書に書いている1日投与量は、実際の病院処方をする場合に比べて、はるかに少ないものになっています。つまり、効果のある成分が含まれていても、用量が少なければ、必要な治療効果を得られない可能性があります。
- 最も効果のある薬は病院処方でしか出せない
新薬はもちろんのこと、最も効果のあるものは病院の処方箋でしかもらえないようになっております。
- 早期発見の妨げになる
市販薬を買って様子を見ている時間だけ、胃カメラ、大腸カメラなどの検査が遅れ、癌などの重大な病気の早期発見の妨げになっている可能性を考えます。
- 症状に合わせた服薬とはならないことが多い
多くの胃薬が合剤になっていますが、皆さんは中に含まれている成分を理解して服薬されていますでしょうか。やはり、症状改善には治療目的に応じた処方が必要です。
市販薬の使用が全て悪いとは思いません。市販薬の成分を眺めながら、常々うまい具合に成分を組み合わせて作っているなと感心していますし、多くの方が市販薬によって症状改善が得られているだろうなと考えます。しかし、市販薬で良くならないことが続いているとき、上記のことをふと思い出して、医師に相談するようにして下さい。
青野クリニック 院長 青野 悟志